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福岡地方裁判所 昭和48年(ワ)919号 判決 1975年10月30日

原告

西部運送こと高嶋明

被告

九州通運有限会社

ほか二名

主文

一  被告九州通運有限会社及び被告藤田国広は原告に対し、連帯して金三四万五三七五円と、そのうち金二七万〇三七五円に対しては昭和四八年一〇月二日から、金七万五〇〇〇円に対しては昭和四九年三月一六日から、各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告の右被告らに対するその余の請求及び被告嶋田孝に対する請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、

1  原告と被告九州通運有限会社及び被告藤田国広との間においては、これを二分してその一を原告、その余を被告らの負担とし、

2  原告と被告嶋田孝との間においては、原告の負担とする。

四  この判決は、原告勝訴の部分にかぎり、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは原告に対し、連帯して金六九万〇七五〇円及びそのうち金五四万〇七五〇円に対しては昭和四八年一〇月二日から、金一五万円に対しては昭和四九年三月一一日から、各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  事故の発生

(1) 発生日時昭和四八年二月二八日午前二時一〇分頃

(2) 発生場所 熊本県下益城郡富合町志々水一〇三四番地の八先国道三号線路上

(3) 加害車両 被告藤田運転の被告九州通運所有大型貨物自動車(熊本一一か八八一号)(以下「被告車」という。)

(4) 被告車両 (イ) 原告の被用者訴外吉村文明運転の原告所有普通貨物自動車(福岡一一あ九六三号)(以下「原告車」という。)

(ロ) 訴外河口太運転の訴外有限会社大黒貨物所有普通貨物自動車(福岡一一あ一〇二九号)(以下「訴外車」という。)

(5) 事故態様 前記日時に、原告車が国道三号線を八代市方面から熊本市方面へ進行中、本件事故現場付近にさしかかつたところ、おりから対向して進行して来た被告車が、突然、右折して原告車の進行車線に進入してきたため、原告車運転者訴外吉村は、被告車との衝突を避けるためやむなく右転把し、中央線を越え対向車線に進入したところ、被告車に後続して対向車線を進行してきた訴外車と正面衝突した。

(6) 事故の結果 訴外河口が負傷し、原告車及び訴外車が破損した。

2  本件事故の発生原因

(1) 被告藤田は、被告車を運転して本件事故現場を進行中、進行方向右側国道脇にあるドライブインに立ち寄るため、漫然と、減速することなく、突然被告車を右折させたものである。

(2) 訴外吉村は、被告車が突然右折して、自車の進行車線に進入してきたため、これとの衝突を避けるためやむなく右転把して原告車を、中央線を越え対向車線に進入させたところ、訴外車と衝突したものであり、訴外吉村の右転把行為は民法第七二〇条にいわゆる正当防衛にあたるものである。

(3) よつて本件事故(原告車と訴外車との衝突)は、被告藤田の、安全を確認せず、減速もせず、漫然と右折した過失が原因となつて発生したものである。

3  責任原因

(1) 被告藤田は、民法第七〇九条により、本件事故により原告及び訴外大黒貨物に生じた損害を賠償すべき責任がある。

(2) 被告藤田は、被告九州通運の被用者として本件事故発生当時被告九州通運の事業を執行中であつたので、被告九州通運は、民法第七一五条第一項に基き、本件事故により原告及び訴外大黒貨物に生じた損害を賠償すべき責任がある。

(3) 被告嶋田は、被告九州通運の八代出張所における責任者であり、被告藤田に対する監督者であつたので、民法第七一五条第二項に基き、本件事故により原告及び訴外大黒貨物に生じた損害を賠償すべき責任がある。

4  本件事故による原告の損害

原告は本件事故により、次のとおり計金一一万一六五〇円の損害を蒙つた。

(1) 原告車修理費用 金八万六六五〇円

(2) 代車費用 金二万五〇〇〇円

5  本件事故による訴外大黒貨物の損害に対する賠償金の立替払

(1) 原告は、本件事故により訴外大黒貨物に生じた損害について次のとおり計金五七万九一〇〇円を被告らに代つて支払つた。(但し(ニ)ないし(ト)は昭和四九年三月一〇日に支払つたものである。)

(イ) 訴外車修理費用 金三九万二八〇〇円

(ロ) クレーン車費用 金二万二〇〇〇円

(ハ) レツカー車費用 金一万四三〇〇円

(ニ) 休車費用 金六万五〇〇〇円

(ホ) 代車費用 金二万二〇〇〇円

(ヘ) 積替助手費用 金三〇〇〇円

(ト) 荷物破損弁償費用 金六万〇〇〇〇円

(2) 被告らは、原告の右支払の限度で訴外大黒貨物に対する損害賠償の責任を免れた。

6  結論

よつて、原告は被告らに対し、連帯して本件不法行為による原告の損害の賠償金一一万一六五〇円及び被告らが支払うべき訴外大黒貨物に対する損害賠償の立替分金五七万九一〇〇円、ならびに右合計金六九万〇七五〇円のうち金五四万〇七五〇円(原告の損害の賠償金一一万一六五〇円及び訴外大黒貨物に対する立替分の内金四二万九一〇〇円)に対する本件不法行為の日の後で且つ本件訴状送達の翌日である昭和四八年一〇月二日から、金一五万円(右立替金の残金)に対する右金員を原告が訴外大黒貨物に支払つた日の翌日である昭和四九年三月一一日から、各支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因第1項のうち

(1) 被告藤田が被告車を運転して、原告主張の日時に、原告主張の場所を熊本市方面から八代市方面へ進行した事実は認める。

(2) 訴外吉村が原告車を運転して原告主張の日時に、原告主張の場所を八代市方面から熊本市方面へ進行した事実、原告車と訴外車が衝突した事実、訴外河口の負傷の事実、及び車輪の破損の事実は不知。

(3) その余の事実は否認する。

2  請求原因第2項のうち

(1) 被告藤田の運転する被告車が、国道際のドライブインに立ち寄るため右折した事実は認める。

(2) 原告車が中央線を越えた事実は不知。

(3) その余の事実は否認する。

被告藤田は右ドライブインに立ち寄るため、その手前約五〇メートルの地点より時速一五キロメートル前後に減速徐行し、次いでその手前約二〇メートルの地点で右折の方向指示器を点滅させ、対向車両は前方約三〇〇メートルの地点であることを確認して、右折の合図を継続しつつ右折し、ドライブインに進入したものであつて、被告藤田には何ら運転上の過失はない。

3  請求原因第3項のうち

(1) 被告藤田が被告九州通運の被用者である事実及び被告嶋田が被告九州通運の八代出張所の責任者である事実は認める。

(2) その余の事実は否認する。

4  請求原因第4項の事実は不知。

5  請求原因第5項のうち(1)の事実は不知。(2)の事実は否認する。

第三証拠〔略〕

理由

第一事故の発生

〔証拠略〕を総合すると、次の事実が認められる。

昭和四八年二月二八日午前二時一〇分頃、訴外吉村は原告車を運転して、国道三号線を八代市方面から熊本市方面へ時速六〇キロメートルで進行中、熊本県下益城郡富合町志々水一〇三四番地の八先にさしかかつた(その付近の道路幅員は片側五メートルで、二車線、速度制限は時速六〇キロメートル以下である)。おりから被告藤田も、被告車を運転して同国道を反対方向の熊本市方面から八代市方面へ進行中、同所へさしかかつたが、進行方向右側国道脇にあるドライブイン「オアシス」に立ち寄るため、その手前二〇メートル付近から減速するとともに、右折の方向指示灯を点滅させ始め、道路中央線寄りに進行し、「オアシス」の駐車場前で、車体前面を「オアシス」方向に向け、道路中央線に対し斜めに停止した。この時被告藤田は、二〇〇メートル前方の対向車線をかなりの高速で進行して来る原告車を現認したが、その通過を待つことなく、かえつて、一時停止している間に原告車が被告車に一〇〇メートルの距離に接近するに至つて発進し、対向車線を横断して「オアシス」の駐車場に進入した。一方、訴外吉村は、被告車が右折し自車の進行車線の前方を横断しているのをその三〇メートル手前に至つてはじめて発見したが、被告車は全長一一・七メートルであつて、まだ車体の後部が道路を渡り切つていなかつたため、被告車と原告車との衝突を避けるため、急制動をかけるとともに、右転把し対向車線に進入した。ところが、これよりさき被告車には訴外河口運転の訴外車が後続してきており、訴外車は被告車の前記停止とともに一旦停止し、被告車が右折し始めたので発進したところであり、そこへ原告車が中央線を越え対面して進行して来たため、原告車と訴外車は正面衝突するに至つた。この衝突のため、訴外車の運転者訴外河口が負傷し、原告車と訴外車が破損した。

〔証拠略〕中、右認定に反する部分は措信し難く、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

第二被告らの責任

一  被告藤田の責任

被告藤田は、前示のとおり、国道脇のドライブイン「オアシス」に立ち寄るため、被告車を道路中央線に寄せて一旦停止し、その時、二〇〇メートル前方の対向車線を原告車が時速六〇キロメートルの高速で接近して来るのを現認した。このような場合においては自動車の運転者としては、そのまま停車し続けて対向車の通過を待つか、あるいは、対向車が自車のために一旦停車してくれるのを確認したうえで右折し、もつて自車と対向車との衝突等の事故の発生を未然に防止すべき注意義務がある(殊に全長一一・七メートルの大型車を運転する場合なおさらである。)のに、被告藤田は、これを怠り、漫然、原告車の通過前に横断しきれるものと軽信し、高速で接近しつつある原告車の直近前方を右折横断した過失があり、右過失を起因として本件事故は発生したものと言うべく、被告藤田は、民法第七〇九条により、本件事故により生じた損害を賠償すべき責任がある(過失相殺については後述)。

右認定を覆すに足りる証拠はない。

二  被告九州通運の責任

被告嶋田が、被告九州通運の被用者である事実については、当事者間に争いがなく、また〔証拠略〕によれば、本件事故発生当時、被告藤田は被告九州通運の所有に係る被告車を運転して帰宅する途中であつた事実が認められ、右各認定事実によれば、被告藤田の右運転行為は、被告藤田と被告九州通運の内部的関係においては格別、外部に対する関係においては被告九州通運の業務執行行為にあたるものと言うべく、被告九州通運は、民法第七一五条第一項に基き、本件事故により生じた損害につき、被告藤田と連帯して賠償すべき責任がある。

右認定を覆すに足りる証拠はない。

三  被告嶋田に対する原告の本訴請求の当否

被告嶋田が、被告九州通運の八代出張所の責任者である事実については当事者間に争いがないが、被告藤田が、被告九州通運の八代出張所に所属する等被告藤田の監督に服する者である事実については、何らの証拠もなくこれを認めることができない。

よつて、原告の被告嶋田に対する本訴請求はその余の点について判断するまでもなく失当である。

第三原告が被告ら(以下、被告藤田及び被告九州通運をいう。)に対して請求しうる限度

一  訴外吉村の過失

〔証拠略〕によれば、本件事故当時、故現場付近は雨あがりで、また道路面は濡れており、そのような状態では、制動距離が乾燥路面におけるよりもはるかに長くなることは経験則上明らかであつて、しかも当時は深夜でもあつたのだから、自動車の運転者としては、前方を充分に注意し、且つ、急制動をかけても、スリツプ等による危険を生じない限度の速度で進行し、もつて事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるのに訴外吉村はこれを怠り、漫然、前方の注視を怠り、且つ時速六〇キロメートルの高速で進行し、(事故現場付近の制限最高速度は時速六〇キロメートルであつたことは証拠上明らかであるが、前示のような道路状態であつたのだから、なお減速すべき注意義務がある。)ために、被告車が自車の進行車線の前方を横断しているのをその直前三〇メートルに至つて漸く発見し、急制動をかけたが、スリツプし、そのままでは衝突を避けるのが困難であつたため、右転把して中央線を越え、対向車線に進入し、訴外車と衝突したものであつて、本件事故の発生については、訴外吉村の右過失も、その起因となつているものと言うべく前示被告藤田の過失と訴外吉村の過失とはその注意義務違反の程度において相等しいものと解するのが相当である。

右認定を覆すに足りる証拠はない。

なお、原告は、訴外吉村の右転把の行為は被告車と原告車との衝突を避けるためにやむを得ずしてなした正当防衛行為である旨主張するが、前示のとおり原告車と、被告車との衝突の危険は訴外吉村の過失もその重大な一因となつて発生したものであつて、このような状況の下にあつては自己に生じた危険を第三者に転嫁することは許されないものと解すべく原告の右主張は採用し得ない。

二  原告が被告らに請求しうる限度

1  前示のとおり本件事故の発生については、訴外吉村の過失も被告藤田の過失と同等の割合を以て寄与しているのであるが、〔証拠略〕によれば、訴外吉村は原告の被用者であつて本件事故発生当時、原告の事業の執行中であつた事実が認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はないのであるから、しかるときは、訴外吉村の右過失は原告側の過失と言うべきものであつて、原告の被告らに対する本件損害賠償請求の当否を判断するにあたつてもこれを斟酌するのが相当である。

そして、本件事故の発生についての訴外吉村の責任は、被告藤田と両等すなわち五割なのであるから、原告の本件事故による損害賠償請求についても民法第七二二条第二項により五割の過失相殺をするのが相当である。

2  また、前示のとおり、本件事故は、訴外吉村及び被告藤田の過失が競合して発生したものであるから、被害者たる訴外大黒貨物に対する関係においては、訴外吉村及び被告藤田ならびに、それぞれの使用者たる原告及び被告九州通運が共同不法行為者たるの地位に立つものと解される。そして、これら共同不法行為者は被害者訴外大黒貨物に対する関係では連帯して損害賠償の責任を負うのであるが、共同不法行為者の内部においては、各自の責任に応じて損害賠償責任を負担するのであつて、自己の負担分以上に被害者に賠償した者は他の共同不法行為者に対し、自己の出捐によつてその者が被害者に対する関係で出捐を免れ利益を得た分につき返還請求権を有するものと解されるところ、前示のとおり、本件事故の発生についての訴外吉村及び被告藤田の過失の割合は各五割であるから訴外吉村と被告藤田は、内部関係において相等しい負担部分を有するものと言うべく、また、原告及び被告九州通運はそれぞれ民法第七一五条第一項により責任を負うのであるから、その責任(負担部分)もまたそれぞれの被用者と同一と言うべきである。ただ、本件の場合、共同不法行為者として原告、訴外吉村、被告九州通運、被告藤田の四者は、もし原告と訴外吉村との間及び被告九州通運と被告藤田との間で更に民法第七一五条第三項による求償権が行使されるといつた事態になれば窮極的には四者がその内部関係に応じ負担部分を分有するものといえるが、訴外吉村と原告、被告藤田と被告九州通運との間は、それぞれ前者の不法行為につき後者が使用者としてその損害賠償責任を補完するといつた特別の関係にあるので、なお外部から行われる求償の段階ではこれらは一体となつてその負担部分につき連帯責任を負うものと解すべきである。よつて、原告は訴外大黒貨物に本件事故による損害賠償として支払つた分についても、被告九州通運及び被告藤田に対し連帯して二分の一の不当利得分を求償しうるものである。

第四本件事故により原告に生じた損害

一  〔証拠略〕によれば、原告が本件事故により次の損害を蒙つた事実が認められる。

1  原告車修理費用 金八万六六五〇円

2  事故車引離しのためのレツカー車費用 金四〇〇〇円

3  原告車輸送に際しての積降ろし用のクレーン車費用 金一万八〇〇〇円

4  原告車の代車として使用した車両二台の使用料相当額 金二万五〇〇〇円

右認定を覆すに足りる証拠はない。

二  そこで原告は右損害計金一三万三六五〇円のうち過失相殺によつて半額の金六万六八二五円の賠償を被告九州通運及び被告藤田に請求しうるのであり、また本件記録から本件訴状が右被告らに送達された日の翌日であり、かつ本件不法行為の日の後であることが明らかな昭和四八年一〇月二日以降、右金員についてその支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の請求は理由がある。

第五本件事故による訴外大黒貨物の損害についての代替払

一  訴外大黒貨物に代つての支払

1  原告本人尋問の結果及びこれにより真正に成立したものと認められる甲第二号証によれば、訴外大黒貨物が本件事故によつて蒙つた損害のうち、次の金額を原告が訴外大黒貨物に代つて支払つた事実が認められる。

(1) 訴外車の修理費用として、昭和四八年四月一〇日に金三九万二八〇〇円

(2) 訴外車の運搬用のレツカー車費用として同年三月一日に金一万四三〇〇円

他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

なお、原告は更にクレーン車費用として金二万二〇〇〇円を支払つた旨主張するが、その点本件全証拠によるも認めることができない。

2  前示のとおり原告は右支払金計四〇万七一〇〇円のうちその二分の一である金二〇万三五五〇円を被告九州通運及び被告藤田に請求しうるのであり、また前示のとおり、本件訴状は遅くとも昭和四八年一〇月一日には右被告らにそれぞれ送達されていたのであるから右金員につき、昭和四八年一〇月二日以降支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の請求もまた理由がある。

二  訴外大黒貨物への支払

1  〔証拠略〕によれば、原告が、訴外大黒貨物から福岡簡易裁判所に本件事故による損害賠償請求の調停を申立てられ、右損害の填補として、金一五万円(内訳休車費用金六万五〇〇〇円、代車費用金二万二〇〇〇円、積替助手費用金三〇〇〇円、荷物破損弁償費用金六万円)を昭和四九年三月一〇日限り支払うべき旨の調停が成立し、その頃原告において右金員を支払つた事実が認められる。

他に右各認定を覆すに足りる証拠はない。

2  そして、前示のとおり原告は右支払金計一五万円のうち、その二分の一である金七万五〇〇〇円を被告九州通運及び被告藤田に請求できるのであり、また本件記録からその点についての「訴変更申立第一が被告ら代理人に送達された日の翌日であることが明らかな昭和四九年三月一六日以降、右金員に対し支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、原告のこの請求もまた理由がある。

第六結論

以上のとおりであつて、結局、原告の本訴請求は、被告九州通運及び被告藤田に対し連帯して合計金三四万五三七五円と、そのうち金二七万〇三七五円に対しては昭和四八年一〇月二日から、金七万五〇〇〇円に対しては昭和四九年三月一六日から、各支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、同被告らに対するその余の請求及び被告嶋田に対する請求は、いずれも失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条第一項を、仮執行の宣言につき同法第一九六条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 権藤義臣)

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